届いてなかった鑿も無事に届きました。
これで手元には、1分(3mm)、3分(9mm)、8分(24mm)の計3本の鑿があります。
実習中には仕込む時間はないので、塾生はちょっとした隙間を見つけて冠の仕込みを行なっています。
最初は苦戦した冠の仕込みですが、2本目3本目となると少しは上手になってきました。
冠の仕込みを終えると、次は 裏押し を行なっていきます。
裏押しは鑿の裏側を平面に研ぐこと作業です。
刃を研ぐ前に裏面の基準面をしっかり作ることで精密な鑿として使えるようになります。
素人目には平面なんですが、職人の世界ではしっかりと平面であることを担保してあげる必要があります。
木工の世界では平面や矩(垂直)を保証することが大事で、そのためにはキチンと道具が精度高く仕上がっていることが大事です。
前提となっている基準面が狂うと最終的に帳尻が合わなくなります。
スコヤと呼ばれる直角を測る工具も落としたりすると矩が出せなくなったりするので、大事に大事に扱う必要があるそうです。
道具がしっかり精度高くメンテされているからこそ、機械の設定も精度高く行えるわけで、職人にとって自分の道具を仕込んで使える状態に保っていくというのは必須のスキルと言えそうです。
裏押しに必要なものは、金盤と研ぐための金剛砂です。
耳かき一杯程度の金剛砂を金盤に乗せ、水を1、2滴。
鑿を金盤に直交する形で支え、左手は裏面を平面に保ち、右手は鑿を前後に動かします。
水は少量でよくて、金盤が乾かない程度。
最初は細かく動かして、次第に金盤全面を使って研いでいきます。
研いでいくと金剛砂が細かい粒子になって、細かい傷がついて曇っていきます。
刃の全面に細かい傷がついてきたら、最後は金剛砂を洗い流して水だけで研いでいきます。
水だけで研ぐと金盤との摩擦で表面が滑らかになり、鏡面になります。
全体が鏡面になると完成。
研いだ後は金盤を洗って乾かして終了です。
見よう見まねでやってみるわけですが、やりながらこれで合ってるんだろうか、大丈夫かなと不安になりました。
とりあえず、黙々と 15 分くらい研いで、刃の状態を見てみると謎の三角コーナーが。
他の刃の部分と違って曇っています。
どうやら三角部分だけ金盤と接触しておらず、まだ平面になっていない状態みたいです。
これを除くために他の凸になっている部分を削って平面にする必要があります。
金剛砂を多めにして研いでいると、少しづつ三角コーナー部分が後退していきました。
鑿がどういう状態にあるのかを把握するのが大事と感じました。
やがて全面が接触するようになったところで、鏡面に仕上げるべく研いでいきます。
一応、なんとなく自分の姿が見えるくらいには仕上がったのですが、まだまだぼやけているような状態でピカピカの鏡面というわけにはいきません。
先日の講座で一人一本は裏押しをしてくるよう言われていたのですが、合格をもらえたのはクレアのみ。
今週も引き続き、裏押しに取り組むことになりました。
自分でも満足いく仕上がりになっていないので、もう少し練習して鏡面を出せるようにしたいと思います。
京都にいたときも鑿の仕込みをやってみたことがあったのですが、どうなればいいのかわからず、手応えも感じられずに投げ出していました。
今の環境は教えてもらえる環境にあること以上に、一喜一憂できる同好の士がたくさんいる環境が恵まれているなと感じました。
とりあえず、今週は合格もらえるように頑張って研ぎます!