日々のインプットが多くて、自分の中で咀嚼しきれていない部分がありますが、かと言ってアウトプットしないとその機を失ってしまうというジレンマを感じています。
まとまりがない文章になってしまいますが、入塾 2 週間経って思うことを残せたらと思っています。
家具職人として何年間修行を積めば一人前に慣れるのかというのは、家具職人を目指す人にとっては気になるところです。
「家具職人 修行期間」で検索すると、5 年くらいが相場と出てきます。
森林たくみ塾は 2 年間で経験ゼロの素人を木工職人に育てるというコンセプトです。
一人前の定義をどこに設けるかでいくらでも修行期間は変動しそうですが、私の場合は作りたいものが決まっているので、それをひとりで作れるようになるまでがひとまずのゴールとしています。
作りたいものによって必要な技能は異なってくるので、一口に家具職人といってもその方向性は無数にあります。
扱う素材も無垢材であったり、集成材、フラッシュ材で大きく異なります。
実用品を作るのか芸術品を作るのかでも違います。
どの顧客をターゲットにしているかによっても変わってきます。
私はどちらかといえば、本当に家具職人になるのに 5 年かかるのか?というスタンスでいます。
怒られるのを承知で書くと、お店で売られている家具を見て、
「機械で真っ直ぐ木材を切り出すことさえ出来れば、これは作れそうだな」と思っていました。
ただ、ここ 2 週間で実際に木を加工してみて、一筋縄ではいかないなと感じました。
今週の作業も先週同様、木材を製品に使える部材として加工していく作業がありました。
大量の木材に対して、同一の加工処理を施していくわけですが、状態はどれも同じではありません。
割れているものもあれば、色が悪いものもあり、ささくれているのもあれば、欠けているものもある。
加工していくうちに反ってくる材もあります。
材の状態は千差万別ですが、出来上がる商品の状態は同じである必要があるので、逐次材の状態を見る目が必要になってきます。
「この欠けている部分は補修が必要ですか。」
「ここ反っちゃっていますが、大丈夫ですか。」
「この部分、毛羽立っていますがもう一回磨いた方がいいですか。」
この手の質問は無数に発生しますが、塾生に対してのスタッフの数も限りがあります。
ひとつひとつ確認するわけにもいかないので、最初に教えてもらって後は自分で判断する必要があります。
こうして、自分の中で審美眼のようなものが醸成されていくのを今週はとても強く感じました。
例えば、今週は「面取り」と呼ばれる作業を担当することがありました。
機械加工された材の切断面は直線的で、そのままでは手触りが悪いため面取りを行なって、丸みをつけていきます。
高速回転するヤスリに押し当てて丸みをつけていくのですが、これは言語化が難しく、やり方を教えてもらって、見様見真似でやってみるところから始めていきます。
ケガしないように基本的な注意点や意識する点は教えてもらいますが、いざ自分でやってみると「あれこんな感じだっけ?」と感じることが多く、とまどいも多いです。
始めは体の使い方が上手くいかずにいくつかの材をダメにしたこともありました。
ただ、量をこなしていると「こうやってヤスリに押し当てるとキレイに面が出せる」とか「あの動作にはこういう意味があったんだ」みたいな気づきが出てきて、そのうち効率よくできるようになってくる感覚があります。
そのうち最適化される感覚になるのですが、それもたくさんある製品のひとつの部材の話。
別の工房に行けば扱う機械も違う上、木材の状態も同じことはありません。
なので、その日の最適化された方法もひとつのパターンとして蓄積していくという感覚に近いのかなと感じました。
たくみ塾のいいなと思うところは大量に試行錯誤できるので、最適化される状態まで試せることにあります。
十分の試行回数が取れず、上手くできなかったな...と不完全燃焼で終わると学びの速度も変わってきそうです。
上述のようなことを考えてみると、家具職人を育てるのに時間がかかるなというのが率直な感想です。
理想的な環境は、「一流の家具職人に師事し、寝食を共にするレベルでマンツーマン指導を受けられて、なおかつ試行錯誤ができる環境」だと思います。
とはいうものの、マンツーマン指導にも言語化の限界はあるので、ある種今の環境が現実的に一番理想に近い形式だと感じています。
これからも自分の中でしっくりくる感覚を大事にして、精進していきます。