留学生と単純作業

2023-04-23 10:05:56

森林たくみ塾

入塾してから 3 週間が経ちました。

早寝早起きする生活や日々の作業にも慣れてきました。

早寝早起きの習慣はもともと付けたいと思っており、前職時代もいろいろと睡眠習慣の本を読んで取り組んでいましたが(100 日後に身に付く早起き習慣というのを日報で書いてました)、全く定着しませんでした。

とは言え、自分を変えるには環境を変えろとはよく言ったもので、今では毎日 6 時半に家を出る生活も苦に感じなくなりました。他にもスマホ時間が減ったり、運動量が増えたり、食べる量が増えたり、私にとって好ましい変化が増えたと感じ、理想の状態に少しずつ近づいている感覚があります。

オーストラリアからの留学生

たくみ塾の同期にクレアというオーストラリア人がいます。

彼女はオーストラリアにある工房から交換留学生という形で来ており、日本語は話せません。

私は小さい頃にアメリカに滞在していて、日常英会話程度ならできるのでクレアの通訳をすることになりました。おかげで工房での作業も一緒にすることになり、仲良くなりました。

彼女は木のアートスクール?に通っていて、その後パートタイムで工房で働いていたらしく、木工歴だけで言えば 9 年くらい木工をやっている大先輩。

言葉は通じなくても、作業内容や工程に対する理解度はとても高く、「それは後で削り落とす部分だから気にしない方がいいよ」とか「ここの部分が平らになっていないから、もう一回した方がいいかもね」みたいなことをめちゃくちゃ教えてくれます。

はじめはスタッフさんの指示を聞いて英訳するので、指示を聞き漏らせなかったり、指示内容を伝えられるようちゃんと理解する必要があって、難易度が高いなと思ってたのですが、基本的なところはクレアは理解しており、私があえて伝えることは少なかったです。伝えるのはたくみ塾の工房ならではのハウスルールだったりがメインでした。

スタッフさんは塾生に対して人数が少なく、いつでも質問を聞けるという雰囲気でないため、「何でこうするんだろうね」みたいな質問をするとクレアが回答してくれたりして、なるほどーと思うことが多かったです。

最近はいろんな人と身振りやスマホを駆使しながらコミュニケーションを取っているのを見かけますが、間に入って通訳するのも野暮だなと思い、必要な時だけ訳すようにしています。時間はかかっていますが、それでいいのかなと思ってます。そっちの方がみんなと仲良くなるしね。

とてもクレア

クレアは典型的なオーストラリア人という感じがあります。性格は明るく、自由で、マイペース。

休憩時間に入るとすぐに休憩に入るし、休憩時間終わってものっそりと戻ってくる。作業中に突然口笛や鼻歌を歌うし、たまに音楽聴きながらやってる。たまに指示された順番を無視してやる。(後々考えると道理に適っているんだけども)

私が割と典型的なジャパニーズなので、合わないところもあるなーと感じますが、おおらかな性格の彼女は全然そんなこと関係なしで "That's all right. " と笑い飛ばします。

そして、私は "Very Clare. (とてもクレア)" と思うわけです。

ボンドを付ける日々

今週は週の半分以上、部材の組立作業をしていました。

過去 2 週間で作業していた材を必要な長さに切り、木組み部分を加工して、組み立てる作業です。これまでは完成形が見えていませんでしたが、組立作業を行うと一気に完成が近づき、テンションが上がります。

私は組立前に材にボンドを付ける作業を行っていました。

その工程のすぐ後に組み立て、クランプで締める作業があるので流れ作業となり、ボンド付けが滞ると一気に効率が落ちてしまいます。パーツが細かいため、一台につき 1 分以上かかってしまうのですが、ボンドを付けすぎるとボンドがはみ出して、後で除去する作業が発生してしまうし、かと言って遅いといつまで経っても終わりません。常に最適行動を求められる作業でした。

例えて言うと後ろから常に追いかけられているような感覚で、少しでも滞ると全体のリズムが悪くなってしまうような、そんな緊張感がありました。

そんな作業を 3.5 日やっていました。

単純作業をやり続ける

文字だけで書くと、ボンド付けを 3.5 日やっているというのは、「ラインで流れてくるお弁当にたんぽぽを乗せ続ける」と大して変わらないように見えますが、実際はそうではありませんでした。

というのも、初日と比べると作業スピードは数段階上がっており、すごい単純なこと(例えば、塗る箇所に合わせて道具を変える、とかボンドが手に付かないように置き方を工夫するとか)で効率が上がるのがすごく新鮮で楽しかったです。

およそ日常生活では同じ作業を延々と繰り返すと経験がないため、ひとつの作業に対して最適化というのは行う機会がありませんでした。最適化を行うよりもやってしまった方が早いからです。

エンジニアをしていた頃は日々のルーティンを自動化するなどをしていましたが、それともまた違う感覚です。エンジニアはどちらかと言えば「これをすれば楽になるよなー」という感じで、最適化の手段が作業前から見えている状態でした。

今回はどうすれば効率化されるかを考えながら、リアルタイムで実践し続けると言う作業で、これは今まであまり経験したことがありませんでした。

そういう意味ですごく楽しめました。何よりやりきった後の達成感も大きかったです。

最終的には進捗が遅かったため、スタッフさんにヘルプに入ってもらったのですが、スタッフさんは言わずもがな高速で作業をこなしており、最適化できたと天狗になっていた私もまだまだ精進が必要だなと改めて気を引き締めました。

今週はこんなところで。

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