家具フェスティバルと椅子展

2023-10-22 18:06:36

高山生活

今週末は高山で大きな木工の展示会が複数開催されていました。

飛騨の家具フェスティバル @ 世界生活文化センター

飛騨木工連合会が主催する家具イベントで、加盟している家具メーカーのブースをはじめ、さまざまな展示やトークイベントなどが開催されていました。

オークヴィレッジもブースを出しており、普段製作しているアイテムが並んでいるのを見て、少しうれしくなったりしていました。

普段は点在する各メーカーのショールームを回るとなると大変ですが、こうしたイベントがあると各メーカーのこだわりや力を入れているポイントが見えてきて、とても勉強になりました。

特にあと来年の今頃は卒塾後の進路を決定する必要があり、私の場合は高山を去る予定が今の所ないため、就活的な意味でも会社について知れる良い機会になりました。

ブースでは木工家さんが自社のことを温度感高く話してくれることが多く、私の知っている知識とリンクされていくのを感じることができて、とても楽しかったです。

あと、図らずも木工芸術スクールのワークショップに参加して人生初めての鉋削り体験をしました笑

木と暮らしの制作所

https://kitokurashi.com/

先日訪れた材木市場で聞いた話ともリンクするのですが、山で伐採された木の 9 割はパルプ材として利用されるそうです。

木こりさんが山から伐採した木のうち、利用できそうなものが市場に流通しており、それ以外はパルプ材となっています。

パルプ材として使われる木材の中には十分家具利用できる木材もあり、実際に製作する人が山に入って選別すればもっと良いものができる、というのを課題として聞いていました。

木と暮らしの制作所ではそれを実現していて、これまではパルプ材として利用されているような木の価値を引き出し、価値を高めるような取り組みをされています。

付き合いのある農家さんからは林檎の木を製品として利用できないかを相談されて、製品を作り出したりと、それぞれのプロダクトの背景にストーリーを感じられて、とても地に足をつけて丁寧に取り組んでいる印象を受けました。

原材料となる山と消費者を繋げる役割を担っていて、誰もがいいなと思うような形態を実践しているのに感銘を受けました。

木工手工具 絶望の危機と希望の光

こちらはトークイベントです。

岐阜県立森林文化アカデミーの講師で、たくみ塾の卒業生でもある久津輪さんが講師でした。

内容としては木工手工具を製作する鍛治職人さんの高齢化が進み、数が少なくなったことにより、近い将来技術継承ができなくなることについて警鐘を鳴らすものでした。

数年前から久津輪さんが実態調査のため、全国の鍛治職人さんにインタビューを行っており、その調査結果をもとに、今後のあるべき姿を共有していただきました。(調査結果はこちら

調査結果によると、たくみ塾で私が購入した鑿や鉋も製作している職人さんは全国で数件、ほとんどが後継者なしと回答しており、本当に絶滅の危機にあるとのことでした。

直接的な解決策として全国の鍛治職人間で協力できるような体制を整え(現状では全国的な組織が存在しない)、国からの補助を受けられるようにすること。

間接的な方法として使用者である木工者の裾野を広げるべく、木工全体を盛り上げていくことで鍛治職人を支えること。

そのための活動として、グリーンウッドワークを奨励していること。

https://www.greenwoodwork.jp/

こうした活動の甲斐もあり、鍛治職人の後継者を育てようという機運も徐々に高まりつつあるということで、そうした希望の光をいくつかの事例で共有いただきました。

まだまだ木工業界の新参者で知らないことばかりなので、大変な学びとなりました。

Chairmaker Takayama Japan @ 元飛騨地酒蔵

https://www.chairmaker.jp/

木工家さんの製作した椅子をたくさん見られる椅子の展示会です。

製作した木工家さんのお話を直接聞くことができるとても貴重な機会です。

個性溢れるいろんな椅子が一堂に集まっているので、それを見て触れるのも楽しいですが、それ以上に木工家同士の交流の場になっている印象です。

以前、京都で開催されていたきょうと椅子展では、ただの木工に興味がある人だったので椅子を見るだけで終始してしまっていましたが、今日は見知った木工家さんがたくさんいる空間だったので、いろいろソワソワしていました笑

podcast で話だけ聞いていた木工家さんと話したり、声をかけていただいた木工家さんと家が近かったので今度飲みに行きましょうなんて話したり、たくみ塾卒業生の方とおしゃべりしたり。

話を聞いているとこうした何気ないところからご縁が繋がって進路が決まる人もいるみたいで、不思議な化学反応が起きる場所なんだなと実感しました。

少し会場にいただけですが、中級生や平野さんがいろんな木工家さんと話をされているのを見て、徐々に世界が広がっていくんだろうな、と想像しました。

話した内容は他愛のない話ですが、木工の先輩方に「やりたいことをやるしかないよ」と少し背中を押された気がして、気が楽になりました。

最近は漠然とした進路の不安や疲労感、倦怠感が出てきてモチベーションが低下気味だったのですが、多くの人と話をして色々見聞きして、刺激をもらいました。

また、この 2 日間で知っている顔が増えたことにとても驚き、京都から高山へ移住しなければこうはなってなかったんじゃないかなと思いました。

今回はこんなところで。

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